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病の果てに見出した一筋の光明


かつて、私はどうしようもない最低レベルの頭と体の持ち主だった。身体が弱くて病気がちで、いつもどこかしら体調がすぐれない。頭の中はどんよりと濁り、学校の授業を理解するのに難儀し、朝に聞いたことを夕方には忘れてしまうほどに物覚えも悪い。それが私の少年時代の姿だ。

しかし、今の私を知る人は、私がそこのこを話しても信じない。

それはそうだろう、ヨガ指導者として精力的に世界の道場を飛び回って指導にあたり、すでに述べたように、著書は国内外で400冊超、「記憶術日本一」のタイトルに輝き、NHKでも「記憶の達人」として3回紹介された。そんな私の姿を知っていれば、とうてい信じられないだろう。

だが、少年時代の私はまさに病気の問屋のような虚弱児だった。肺炎、肋膜炎、ゼンソク、慢性的な頭痛と微熱、便秘症、蓄膿症、肝臓肥大と、いろいろな病気にかかり、赤面・対人恐怖症にも悩んだ。中学進学時には病弱な子どものための施設へ入ることも検討されたほどだ。

しかも、16才のときには心臓病(狭心症)を患い、「20歳までは生きられない」との余命宣告を医師から受けてしまう。わずか16歳の少年が体験した、このときの絶望感が想像できるだろうか?

「死にたくない!なんとかして生きたい!」

私は病室で泣き叫び、悩み、苦しみ、おのれの運命をー呪ってのたうち回った。しかし、もはや流す涙もなくなったころ、私の心境は180度回転し、メソメソとした感情が前向きな決意へと変化する。それまで、ヨガや東洋医学の本を読んできていた私は、そこに一縷の望みを託し、病院を抜け出して修行の旅へと飛び出したのだ。


断食で超人的な心身を得た!


結果、私はヨガと断食によって健康になった。

初めての断食では空腹感に悩まされ、見るのは食べ物の夢ばかりだったが、狭心症の胸の痛みはなくなり、体調はみるみる改善していった。影響をとっていないのだから医学的には元気をなくしてもいいようなものだが、事実はその逆だった。狭心症患者だというのに楽々と山を登り、そのくだりでは勢いよく駆け降りることすらできたのだ。

そして、断食10日目を過ぎるころには記憶力が驚くほど研ぎ澄まされ、英語の長文を何の苦も無くスラクラと暗記できるようになった。睡眠時間も短くて済むようになり、全身に生命力があふれ、心には自信が満ちていく。

「なんだ、これは! 俺は超人にでもなったのか!」

17歳の少年が自分のことを「超人」と思ってしまったのも、致し方ないことだろう。それほどまでに心身に起きた変化は劇的なものだったから。さて、超人であるかどうかはさておき、私はまさに別人になった。3回目の断食で心臓が完全に治癒したことを確信した私は、ヨガの普及に人生を賭けることを決意した。

当時は今とは違い「ヨガ」という言葉もまあ知られていなかった。まずはヨガの本を出版すべきだと考えて、私は方々の出版社に企画書を持ち込んだ。どこの誰とも知れぬ若造が「ヨガ」という正体不明の健康法の本を出したいと売り込みに行くのだから、そう簡単に話が進むわけがない。だが、私は自分の本が書店に並んでいる様子をありありと思い描き、「必ず本は出る!」という確信を育てていった。

結果、私は処女作の出版にこぎつけ、さらに、その本を持って企画を持ち込んだ先で出版した第2弾の本は10日で10万部売れるという驚異的な大ヒットを記録。もちろん、それもまた私が事前に思い描いた通りの展開だった。そう、私はその本がベストセラーになることを強く念じていたのだ!